この記事のこの場所に「この記事には広告が含まれます」という一文が目立つように書いてあります(自画自賛?)
《以上広告アナウンスでした。以下本文》
「ラグビーは番狂わせが少ないスポーツ」
と、よく言われる。そのラグビーで「世紀の番狂わせ」と言われたのが、ブライトンで行われた、2015年ラグビーワールドカップ本大会予選、日本対南アフリカ戦。
このすごさを語るのに、
「ランキングの差」、「ラグビー強国の壁」、「過去一度も勝ったことがない」・・・
などの、過去の成績から、初心者に語ることはわかりやすい。
ただ、試合の勝ち負けの結果だけでなく、その試合展開もルールを理解すればもっとそのすごさが伝わると思い、ラグビー未経験のくせに、南アフリカ戦を、私よりもっとラグビーを知らない初心者に対して、どのように伝えたのかを、勝手に報告する。
[当記事は、前身ブログ「はじめはみんな初心者だ」での記事「ラグビー未経験者が2015年W杯南ア戦のすごさをいかに初心者に伝えたか」(公開日:2017/10/01)を、加筆・修正したものです。当ブログでの公開日:2018/06/28]
1.ラグビーの点数と試合終了までの決まり事
ラグビーでは、様々な得点パターンがあり、様々な点数の違いがある。
得点数は、ルール変更があった歴史があるが、南ア戦が行われた当時は、以下のとおりである。
ラグビーはトライが5点、そのあとに蹴れるゴールキック(コンバージョンゴール)が決まれば2点、ペナルティゴールが3点、ドロップゴールが3点である。
そして、試合時間は前後半各40分。
試合中、ケガなどで試合が止まった場合の時間は、ロスタイムとして、後半40分の後ろに続いて追加される。そのロスタイムが経過しても、プレーが続いている限りはゲームを続行し、プレーが止まった時が試合終了(ノーサイド)になる。
2.試合最後のシーン
南アフリカ戦の試合展開は、次のページに書いてある通り。
(公財)日本ラグビーフットボール協会ホームページ。
日本代表「ラグビーワールドカップ2015」南アフリカ代表戦 レビュー
https://www.rugby-japan.jp/2015/09/20/rwc2015_sa_review/
(参照2018-06-28)
当ブログでは、試合終了間際のワンプレーに絞って、説明したい。
試合終了直前、点数は29-32で、南アフリカが3点リード。この状況で、日本は敵陣近くで南アフリカの反則でペナルティキックのチャンスを得る。
ここで、ペナルティキックを選択してキックが成功すれば3点取って追いつき、時間的にそこで試合終了で、引き分けることになる。
ゴール前のペナルティのため、キックをすればほぼ間違いなく決まる可能性が高いと思われた。この場合、引き分けになるが、負けている試合を引き分けに戻した点で十分価値があり、強豪の南アフリカ相手に引き分けにしただけでも歴史的大健闘と言ってよかった。
一方、ペナルティキックを選ばずにスクラムを選択しトライで逆転(5点)を狙うことも可能だ。だが、時間的に、相手にボールを取られたり、一つでもミスをすればそこで試合終了になり、敗北で終わることになる。
残りワンプレーでの究極の選択。
ここで日本チームが選んだのは、スクラムだった。
そして、スクラムから出たボールは日本選手によって右サイド端までに振られた後、再び左サイド端まで戻ってきて、最後は左サイドぎりぎりのところにトライを決め、逆転した。(その後のコンバージョンキックは外れて、34-32で試合終了)。
確実に同点にして「良し」とするのではなく、勝つか負けるかの勝負に行って、勝負に勝ったところが、感動を生んだ。
3.その他のすごさも
もちろん、以上の点は、数々あったすごさの一つに過ぎない。
試合中では、
- ジョーンズヘッドコーチ(HC)の指示と選手の決断
- 最後のプレーの一つ前のPKでタッチを切ってラインアウトを選択した判断
- 選手交代の判断
- PKの成功率
試合前では、
- 日本ラグビー協会のHC招聘やサポート
- ジョーンズHCの分析や指導
- 選手の強化練習や意気込み
など、ラグビーの愛好家や専門家なら、いくらでも語ることのできる点がまだまだあると思う。
私は、日本代表が1995年のラグビーワールドカップで145失点した試合を思い出していた。あの時は、中継を見ていて、いくらボールをつないでもトライできず、ミスしてボールを取られると止められずにあっさりと押されて抜かれてトライされていた印象があっただけに、南アフリカ戦の最後の最後で、日本代表がキックではなくスクラムを選んだところには、感慨深いものがあった。
ただ、この「奇跡」の勝利で忘れてならないのは、この予選リーグで勝ち抜いたのは、南アフリカであって、日本は予選リーグ敗退したことだ。
この試合は「史上最大の番狂わせ」ではあったが、予選リーグの結果は、「予想通りの順当の結果」に終わった。厳しいことを言えば、2015年の南ア戦の勝利は、実力の勝利ではなく、予選を勝ち抜けなかった「奇跡」どまりの結果に過ぎなかったのである。
次に日本がWカップに勝ち抜いていけば、その勝利は「奇跡」などではなく、実力の結果となる。2015年の「奇跡」が、「実は奇跡などではなかった」、となることを期待したい。
まとめ
- 2015年ラグビーW杯の日本対南アフリカ戦は、最後のワンプレーの判断がすごい
- そのすごさは、ラグビーのプレーの得点差と試合終了の緊迫感を知ればもっとすごく感じられる
- さらに日本ラグビーの歴史を知ればもっと楽しめる
- ただ予選で敗退したことを肝に銘じ、次はもっと期待したい
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