改ざん社会の末路―大阪府警を参考に

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改ざんという妖怪が日本中を徘徊している

もはや例示の必要がないほど、日本中に改ざんが行き渡っている。

その一方で、改ざんに対する「慣れ」とでもいうべき態度も、蔓延しつつあるようだ。

改ざんに慣れた社会、その「なれの果て」はどのような社会なのか、ここでは大阪府警をその先駆的な例として取り上げ、参考にし、考察してみたい。

1.大阪府警の改ざん問題の端緒

「大阪府警 改ざん」

と言っても、すぐにピンと来ないかもしれない。検索サイトで検索してみても、「大阪地検」の方の改ざん事件や、耐震偽装の改ざんで庁舎が対象に含まれていた件などが、ヒットする。[2019-01-14時点の個人的な検索結果]

大阪府警にしてみれば、とばっちりの「もらい事故」のような話だが、今回取り上げるのは、実際に当事者である、

大阪府警における犯罪認知件数過少報告

の件だ。

この件は、2014年7月30日に、大阪府警から発表されニュースになった。ほとんどのニュース配信サイトでは、過去のニュースなので見れなくなっているが(無料配信分)、検索したところ、以下のサイトで、当時の内容を確認できた。

The Huffington Post 、”大阪府警、犯罪8万件を計上せず「ワースト返上」とウソ 橋下大阪市長が「おわび」”、2014年08月01日 15時20分 JST 。
https://www.huffingtonpost.jp/2014/07/31/osaka-police_n_5640151.html
(参照2019-01-14)

要点は、

  • 2008年、橋下氏が大阪府知事に就任した年に「ワースト1返上」を言及したことから、府警全体で街頭犯罪抑止が最重要課題に
  • 府警独自のルールで、各署の担当者が、府警本部と警察庁に送信する件数を減らしていた
  • 懲戒処分はなく、注意と業務指導

だった。

参考までに、大阪府警のホームページ(http://www.police.pref.osaka.jp/)を確認したが、私の検索能力では、この件での詳しい情報を得られなかった。
(サイト内検索「過少計上」で、3件ヒットしたが、いずれも警察署協議会会議録で、阿倍野署のPDFとHTMLと、曽根崎署のPDFで、「当署でもあった」程度の報告のみ。また、「大阪府下の犯罪統計」(ホーム>生活安全>大阪府下の犯罪統計、http://www.police.pref.osaka.jp/05bouhan/tokei/index_1.html)には、平成16年から平成30年中までの大阪府下の犯罪統計が載っており、過少計上がされた期間の統計も公表されているが、過少計上による再集計の説明は見受けられず、わずかに、「市町村別」の表の片隅に「作成日:平成28年11月18日」に書いてあるなどの、修正をした痕跡が残っているだけだった。)[以上の確認は、2019-01-14時点のもの]

2.大阪府警のずさんな管理の発覚

認知件数過少計上が公表されて約2か月後の9/26に、大阪府警は、新たな不祥事を公表した。2012年に捜査資料が放置されているのを発見し、羽曳野署が容疑者を特定しながら捜査を放置し、時効を迎えていたことが分かった。他の署でも、同様の書類が見つかり、詳しく調べているとのことだった。

日本経済新聞、”容疑者特定も捜査を放置 大阪府警、傷害事件で時効成立 ”、2014/9/26。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG2603F_W4A920C1CC1000/
(参照2019-01-15)

その調査の進捗情報がようやく、2016/02/01に、ある程度明らかになり、

日本経済新聞、”大阪府警、4300事件の捜査資料放置 証拠品など1万点”、2016/2/1 13:51。
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO96768420R00C16A2CC0000/
(参照2019-01-15)

最終的に、2016/06/30に、結果を公表した。

日本経済新聞、”大阪府警、2270事件で証拠品放置 いずれも時効成立 ”、2016/7/1 5:00。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG30H7E_Q6A630C1CC1000/
(参照2019-01-15)

そして処分については、放置した関係者を特定できないとして、懲戒処分はなく、放置のあった61署に業務指導が行われただけだった。

3.大阪府警における個別の不祥事

大阪府警で、これらの数字の偽装及び捜査資料のずさんな管理が発覚したが、その間にも、そしてその後にも、大阪府警の不祥事は、これら以外にいくつもあった。

今思い出せるだけでも、

  • 大阪府警の現職警官が殺人罪で逮捕
  • その大阪府警の上司が遺族に対して不適切な対応
  • 沖縄に派遣された大阪府の機動隊員が不適切発言
  • 大阪府警の警官が落とし物の現金を知人と組んでネコババ
  • 富田林署で容疑者に逃亡され、他県の警備員に確保

などだ。改めてちゃんと調べ直せば、時系列や詳しい内容も整理できるのだろうが、そんな気にはなれない。また、これ以外にもたくさんあるのは分かっているが、改めて調べる気にはなれない。

だが、この、

目を背けたくなる

という感情と、

実際に目を背けている

という事実こそが、改ざんに慣れた社会の「なれの果て」の姿なのである。

4.過去の不祥事を教訓として活かせない大阪府警

一見すると、数字の改ざんや資料の放置と、大阪府警の個々の不祥事は、不祥事として同列であって、直接の因果関係ははっきりしないように見える。実際、不祥事はいつの時代にもあり、犯罪件数過少報告や捜査資料放置がある前から、大阪府警の不祥事はいくつもあった。

だが、過去の不祥事においては、当然のことながら、世論の強い反発とそれに乗じた報道がなされ、警察においても厳重な処分が下されたものだ。そしてそれは強い教訓となっていた。

ところが、改ざんやずさんな資料管理を経て現れた不祥事は、一時、話題になるものの、通り一遍の対応で消費され、時期が過ぎると過去のものになっていっている。

これは大阪府警内部だけの話ではない。大阪府知事、府議員等の警察を監視すべき被選挙員や、それを選んだ大阪府民、それを報道すべき在阪メディア、これらすべてが、改ざんに慣れてしまった末に、大阪府警の不祥事に麻痺してしまっているのである。

(私がこのことを深く思い知らされたのは、2018年のネコババ事件の報道だ。大阪府の警官ネコババ事件と言えば、30年ほど前、堺南署(当時)の署員が拾得物をネコババした上に、届け出た妊婦に署員ぐるみで責任を押し付けたという、許すまじき事件のことを思い出す。ところが、2018年のネコババ事件は、通り一遍の報道と処分が行われただけで、社会全体が30年前の堺南署ネコババ事件のことなどなかったかのように振舞って見えた。)

不祥事はいつの時代でも起こりうる。しかしその不祥事を教訓にできるかどうかは、その時々の人間・組織・社会による。

そして今の大阪府警に不祥事を教訓にしろという期待は、大阪の社会からなくなってしまっている、と言わざるを得ない状況だ。

5.改ざん社会の末路

誤解を生みやすいが、これは

モラルの低下

といった話ではない。「低下」であれば、その水準を引き上げるための何らかの目標と努力が自然と湧き上がる。ところが、今の大阪府警に対しては、信頼自体が失われているのであり、モラルの回復への期待すらされていない。つまり、

モラルの水準が低下したのではなく、基準自体が失われている

のだ。

皮肉なことに、大阪府警の不祥事に対する批判は、かつてほど大きくない。これは大阪府警が信頼されているからではなく、端から信頼されていないので、批判するにも値しなくなっているのだ。

(注:逆の面から言えば、大阪府警の当人たちが信頼されていないことを実感し、「組織の信頼を守るために隠蔽する」といった言い訳もなくなり、積極的に不祥事を開示する誘因にもなりうる)。

「モラルの崩壊」というと社会の混乱を生み出す印象があるが、完全に崩壊してしまったあとでは、それが問題として認識すらされない。価値判断する基準自体が失われているので、「正しいか正しくないか」すら興味を抱かなくなる。

大阪の例で言ってみれば、

大阪府警で過少計上とずさんな資料管理が発覚したが、それに対する懲戒処分は行われず、モラルは崩壊し、次々と不祥事が発覚しても、人々は関心を持たず、ニュースとして消費するだけになる。

これが、大阪での改ざん後に行き着いた、改ざんに慣れた社会の末路である。

ただ、こう言ってしまうと元も子もないが、改ざんが行われた社会がすべてこのようになるとは限らない。それぞれ状況は違うし、改ざんは原因ではなく結果に過ぎず、改ざんが明らかになった時点ですでに、「なれの果て」の姿になっていることもあり得るからだ。

ただ、改ざんの発覚とその処罰に対する態度が、「なれの果て」を予測させる一助にはなるだろう。

その意味では、改ざん発覚後、どの道を選ぶかは、その社会の住人の手にゆだねられている可能性を信じたい。

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