この記事のこの場所に「この記事には広告が含まれます」という一文が目立つように書いてあります(自画自賛?)
《以上広告アナウンスでした。以下本文》
持っているもの
- 3Dプリンターが物を作っている映像を見た経験
- 紙に印刷するプリンターを当たり前のように受け入れてる日常
- 自然界の物質について義務教育レベルの理解
持っていないもの
- 相手の理解度を無視して自分の考えを押し付ける無頓着さ
先日、テレビを見ていると、3Dプリンターを熱弁している人と、その仕組みが分からない人との会話のやり取りがされていた。
バラエティ番組らしく、そのやり取りを、お互いが面白おかしく演じているようだったが、その説明と理解のすれ違いは、「3Dプリンターをいかに理解するか」という点で、参考になるものだった。
以前当ブログでは、FAXの仕組みについて語ったことがあった(記事)が、今回は、3Dプリンターについて、初心者がいかに理解したかを、語ってみたい。
3Dプリンターの説明のやり取りを再現(イメージ)
「どうやってこれ(注:3Dプリンターで作った人形)ができるの?」
「データをUSBでプリンターに移してプリントするとできる」
「えっ、粘土みたいにプリンターの中でこうやって(注:人形を形作る仕草)うごいているの?」
「だから、言ったよね。USBでデータを・・・」
「えっ、わかんなーい」
(以上は、テレビを視聴した個人的な記憶からの再現で、正確な番組名や出演者を正確に覚えておらず、文言やニュアンスの正確さに欠けていることをお断りしておきます。)
食い違いの理由
以上のやり取りが食い違っているのは、質問者は「3Dプリンターでプリントされる原理」を尋ねているのに対し、回答者は「3Dプリンターでプリントする方法」を答えているからだ。
つまり、
質問者「どうやってこれができるの?」(3Dプリンターでこれが出来上がる仕組みは?)
回答者「データをUSBでプリンターで移して出力する」(3Dプリンターでこれを作る際の実際の作業を説明)
というように、3Dプリンターの「仕組み」を聞いているのに、3Dプリンターで出力する「作業方法」を答えていることによって、食い違いが生じている。
3Dプリンターの仕組みを初心者が説明してみる
見ていた番組では、その食い違ったやり取りを何度か繰り返して笑いにしたあと、次のシーンへと移った。結局、質問者が納得できる説明はされないままだった。
消化不良のままだったので、今回は、改めて、3Dプリンターの仕組みについて、番組で疑問に思っていた人でも分かるように、初心者が説明してみたい。
まず大前提として、何もない空間にその人形が現れたわけではない。
質問者は、「何もない空間から人形が現れるはずがない」と理解しているからこそ、どうしてこの人形ができたのかを不思議がっている。(そもそも、「何もない空間から出現した」ことを信じているのなら、「どうして?」という疑問を持つことすら、はじめから、無いだろう)。
そして、分からないときは、これまでの経験から予測しようとする。
今回の場合は、どのように人形ができるのか、という疑問について、これまでの経験から想像して、だいたい、次の三つのパターンが思い浮かんだと考えられる。
人形を作る従来の三つのパターン
1.固い塊(木・石などの個体)からの削り出し
2.粘土質のものから形を整えてから加熱などの変化を加えることにより固くする
3.熱した流体(鉄など)を型(金型等)に流し込んでから冷やして型を取る
この三つのパターンは、それぞれ、
1.初めから固いものを切り出す
2.加工しやすい柔らかいものを形作ってから熱を加えて固める
3.元は固いものを熱して流体にして型にはめて冷やして元の硬さに戻ってから型を外す
というように、熱を加えるかどうかや熱を加えるタイミングについて違いはあるが、基本的には、材質が分かっている。
今回の質問者が、「粘土みたいに」と言って想像したのは、まず、粘土状の塊があってそれをロボットアームのようなモノやレーザー的なモノで加工する姿だったのだろう。それであれば、3Dプリンターはこれまでの人形を形作るものの延長として、理解できるものだっただろう。
しかし実際には、3Dプリンターは、塊を加工して形作るものではない。
したがって、上記の従来の三つのパターンからは納得できる説明をすることは難しいだろう。
3Dプリンターは文字通りプリンター
では、どうやって3Dプリンターで人形が作られたのか。
すでにあるものの延長として理解するのなら、
3Dプリンターは文字通りプリンター
であることから説明を始めたい。
まず、プリンターだが、身近なものとしては、パソコン等に接続して使う、インクジェットプリンターがある。このインクジェットプリンターは、インクを紙に噴射して定着させることで、プリントされる。
このインクジェットプリンターでは、インクを噴射するノズルや、インクを定着させる紙の方を動かすことで、平面にプリントされる。つまり、2Dプリンター(縦横の二次元)だ。
この「2Dプリンター」を理解できるのなら、それに「高さ」が加わえると、3Dプリンターになる。
イメージとしては、CTスキャンされた2次元の画像を積み重ねることで3次元にする。
そうすれば、2次元からの延長で3次元を表現できるようになる。
つまり、
3Dプリンターは、身近にある(2D)プリンターに高さを加えたもの
という、当たり前と言えば当たり前の話だ。
インクが重要
とはいっても、従来のインクジェットプリンターに、高さを加えるのは想像しにくい。インクという液体が、積み重なって立体になるイメージが湧きにくいからだ。
上で示した、人形を形作る従来の三つの手法で言えば、
「3.熱した流体(鉄など)を型(金型等)に流し込んでから冷やして型を外す」
の方法がある。3Dプリンターでは、型がデータ上で管理され、そのデータに合わせて材料が流し込まれると同時に、その場でその形で固まるようにされている、ともいえる。この場合は、実物の金型等は必要ない。
理屈ではそうだが、実際にはその材料が難点だ。
インクジェットでインクを吹き付けるには、流体である必要があり、かつ、吹き付けられた後はある程度の固定化を維持する状態が求められる。さらには次々と吹き付けられたインク同士がくっつかなければ立体の形を維持できない。
加工のしやすさという点では流体化が望まれるが、形の維持という点では固定化が望まれる。
この矛盾を解消するのは、インクの改良だ。
これから先は、専門的すぎるので、私には説明できないが、熱で液体にしたり固めたりするだけでなく、紫外線等で固まるインク等があると聞いたことがあり、様々な技術を駆使して、3Dプリンターを実現させているそうだ。
こういった、流体化と固体化を状況によって変化させるインクの改良と発展が、3Dプリンターの進歩に大きく影響を与えたと言っていいだろう。
3Dプリンターの長所と短所
以上、初心者なりに3Dプリンターを説明してみた。
こうやって理解すると、その長所と短所も分かってくる。
3Dプリンターの長所は、金型が必要ないことだ(データは必要だが)。ただ、プリント時間、インク代等などを聞いてみると、現状では、時間とお金のコストの点で、3Dプリンターによる部品等の大量生産には、まだまだ向かないようだ。(この辺りは、(2Dでの)印刷とコピー・プリントの関係に似ているかもしれない。)
また、3Dプリンターは原料となるインクが限られていることから、素材として制限がある。一方で、3D食品プリンターが存在するとも聞くので、この辺りは、技術の進歩次第とも言えるかもしれない。
まだまだ発展途上の3Dプリンター。初心者なりに、今後の発展に注目したい。
まとめ
- 3Dプリンターに対する一般的な理解像
- 3Dプリンターを初心者がいかに理解して説明してみたか
- 3Dプリンターと従来の立体の造形との違い
- 3Dプリンターは文字通り「プリンター」
- 3Dプリンターはインクが肝
- 理解すればわかる3Dプリンターの長所と短所
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