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《以上広告アナウンスでした。以下本文》
4年に一度の世界的スポーツ大会が、2021年の今年は5年ぶりに東京を会場にして行われている。ただし、13年ぶりに行われているソフトボールの会場は、東京ではない。
回りくどい書き出しになってしまったが(特に意味はありません)、今回取り上げたいのは、そのソフトボールで、2021年7月25日に行われた予選リーグでの試合、カナダ対日本戦で起こった、交代を巡る中断についてだ。
個人的な話で申し訳ないが、ちょうどこの試合の中継をテレビで見ていると、カナダのピッチャー交代を巡って試合が中断したようだった。すぐには再開されずに、具体的な説明もないまま、いったん選手がグランドから引き揚げたところで、せっかちな家人にチャンネルを変えられてしまい、チャンネルが戻ったときには、すでに試合は再開されていて、日本側の守備に代わっていた。
試合自体は、その後も熱戦が続き、最後は日本の延長サヨナラ勝利で終わったものの、結局、交代がどうなったのか、中断の理由は何だったのかは、分からないままだ。
そこで、個人的に、どのように交代が行われて、何が混乱の元だったかを、試合経過を確認して、初心者なりに追ってみたい。
今回の試合経過については、以下のページを参照にした。
東京2020オリンピック オープニングラウンド カナダVS日本
公益財団法人日本ソフトボール協会。日本代表/女子TOP日本代表/大会情報
/東京2020オリンピック、”試合レポート”。東京2020オリンピック オープニングラウンド カナダ vs 日本|公益財団法人日本ソフトボール協会 (softball.or.jp)(参照2021-07-25)。
ルール説明については、以下のページを参考にした。
JSA ソフトボールの基礎知識
公益財団法人日本ソフトボール協会。JSA/ソフトボールの基礎知識。JSA ソフトボールの基礎知識|公益財団法人日本ソフトボール協会 (softball.or.jp)(参照2021-07-25)。
ソフトボールの「特有のルール」
まず最初に、今回の交代を巡る、ソフトボールのルールについて、確認しておきたい。
今回の交代で関係するルールは、以下の二つだろう。
・リエントリー(再出場)
・DP(指名選手・DESIGNATED PLAYER)
これらのルールは、野球には無いため、なまじ野球のルールに詳しい人ほど、分かりにくかったと考えられる。
補足)
そもそも、どんな競技もそれぞれの「特有のルール」を持っている。いちいちそれを「特有」だと言ったりは、普通は、しない。それなのに、「ソフトボール特有のルール」などと言ってしまうのは、(実際にどうなのかは別として)「野球」の派生としての「ソフトボール」だと多くの人に受け取られているからだろう。
この二つのルールについて、まずは理解しておきたい。
リエントリー(再出場)について
ソフトボールでは、スターティングプレイヤー(先発出場選手)は、いったん、交代で退いたあとでも、一度に限り、元の打順を引き継いだプレイヤーと交代して出場できる。
リエントリー(再出場)は
・スターティングプレイヤー(先発出場選手)のみ
・交代して退いた後、1回だけ可能
・元の打順を引き継いだプレイヤーとの交代に限る
といった制限がある。
補足)
野球では、一度交代してベンチに退くとその選手は再出場はできない。そのため、どんな試合展開でも、先発のレギュラーメンバーをベンチに退けるには万が一を考えて難しい面がある。一方、ソフトボールでは、先発メンバーをいったん引っ込めてもリエントリーが認められるため、状況に応じて控えの選手に代えやすい面がある。これは、どちらがいいということではなく、ソフトボールではより多くの選手がプレイすることを好ましいとする考え方に基づくものだろう。
DP(指名選手・DESIGNATED PLAYER)
ソフトボールでのDPを語る前に、野球でのDHについて復習したい。
野球では、リーグごとのルールとして、DH(DESIGNATED HITTER/指名打者)が採用されることがある。少年野球や高校野球、プロ野球のセリーグなどでは、通常、9人のプレイヤーがそれぞれの守備と打順を兼ねるが、DHを採用しているリーグでは、一つの打順だけ打撃専門(守備はしない)、投手だけ守備専門(打席には立たない)として、別々のプレイヤーがプレイすることができる。
野球でのDHでの制限として、今回、注意したいのは、
・DHを途中で解除して守備9人にすることも可能だが、再度DHを起用することはできない
、という点だ。[指名打者 – Wikipedia(参照2021-07-26)]
備考)
先日行われた、大リーグでのオールスターでの、大谷翔平選手「1番DH 投手」が、「特別ルール」で行われたのは、この規定がネックだったことによる。つまり、本来のルールであれば、大谷選手が「1番投手」で先発出場すると、その試合ではDHが使えなくなるが、「特別ルール」を設けることで、その試合で引き続いてのDHでの起用を可能にさせた。
ソフトボールでのDP(指名選手・DESIGNATED PLAYER)は、野球でのDHのこういった制限を、より自由にしたものになっている。(その分、複雑にもなっている)。
ソフトボールのDPの特徴は、
・採用する場合は、試合開始から終了まで継続
・DPに対応する守備専門FP(FLEX PLAYER)はどのポジションでも構わない(投手でなくてもよい)
・途中でDPがFPを兼任しても構わない(ただしFPは試合から退いたことになる)
・逆に、FPがDPを兼任することも可能(ただしDPは試合から退いたことになる)
・ただし、DPとFPが完全に入れ替わることは認められない
・DPがFP以外の守備に付いたときは、その守備者の打順が打撃専門となり、OPO(OFFENSIVE PLAYER ONLY/打撃専門選手)と呼ばれるようになる
、と、少し複雑なものになっている。(個人的なまとめであり、正確さに欠ける場合があります)
誤解を恐れずシンプルに言えば、
「DPは、打撃専門の選手で、野球でのDHみたいなものだが、野球とは違って、投手以外のポジションを守備専門にしてもいいし、途中で守備を兼任してもいい(ただし、途中で打撃専門と守備専門が完全に入れ替わるのはダメ)」
と、まとめられるだろう。(個人的なまとめであり、正確さに欠ける場合があります)
補足)
DPは、DHよりも自由度が高い一方で、「DPとFPが完全に入れ替わることは認められない」という制限があるのは、頻繁な交代による悪用を防ぐためだろう。極端な話、守備時にFPとDPを交代し、攻撃時にDPをFPと交代することを繰り返した場合、実質、DPがFP(又はFPがDP)を兼務し続けることになる。これでは、DPとFPの選手は、一方は守備と攻撃を続けるほかのプレイヤーと同じになって、指名選手の意味がなくなり、もう一方は守備も攻撃も参加しないことになって、実質、試合に出場していないことになるからだ。
2021年7月25日カナダ対日本戦での試合経過
以上のルールを踏まえた上で、当日の交代シーンを追ってみたい。
カナダチームのスターティングラインアップは、
1(右)ビクトリア・ヘイワード
2(中)ラリッサ・フランクリン
3(二)ケルシー・ハーシュマン
4(捕)ケイリー・ラフター
5(一)ジェニファー・サリング
6(左)エリカ・ポリドーリ
7(DP)ザラ・グレーネベーゲン
8(三)エマ・エンツミンガー
9(遊)ジェネット・リューン
FP(投)ダニエル・ローリー
[同上。東京2020オリンピック オープニングラウンド カナダ vs 日本|公益財団法人日本ソフトボール協会 (softball.or.jp)(参照2021-07-26)。 ]
先攻のカナダチームは、三者凡退で攻撃を終えた後、一回裏の守備につくと同時に、選手交代を行う。
7(DP)ザラ・グレーネベーゲン → 7(投)ザラ・グレーネベーゲン
FP(投)ダニエル・ローリー → DP[ザラ]が(投)を兼任(ダニエルは交代、ベンチへ)
0-0のまま試合は進み、4回裏に入ったときにカナダは投手交代。
7(投)ザラ・グレーネベーゲン → 7(DP)ザラ・グレーネベーゲン
FP DP[ザラ]が兼任 → FP(投)ユージェナ・カイラ
5回表一死、カナダの攻撃中、一塁に出た、ザラ・グレーネベーゲンに対して代走。
7(DP)ザラ・グレーネベーゲン → 7(DP)ジョアンヌ・ライ
5回裏一死、カナダの守備中、投手交代。
FP(投)ユージェナ・カイラ → FP(投)ダニエル・ローリー
と、ここでこの交代を巡って、試合が中断した。
登場人物と守備位置を絞って整理
単純に交代経過を追うだけでは、よく分からないままなので、関係する登場人物とDP・FPに絞って、整理することにする。
DPとFPの関係については、簡単に言うと、
DPが打撃専門
FPが守備専門
という表と裏の関係になっている。(個人的なまとめであり、正確さに欠ける場合があります)
今回重要なのは、7番のDPと、それに対応する守備専門のFPの経過だ。それを追って表にすると、
打順 | 先発 | 1回裏 | 4回裏 | 5回表一死 | 5回裏一死 |
7 | ザラ(DP) | ザラ(投) | ザラ(DP) | ジョアンヌ(走・DP) | |
補足 | 打撃専門 | DPとFPを兼務 | FPを解除(打撃専門に) | 先発選手の交代 | |
FP | ダニエル(投) | ザラ(投) | ユージェナ(投) | ダニエル(投) | |
補足 | 守備専門 | 先発選手の交代・DPとFPを兼務 | DPとの兼務を解除しFPを交代(守備専門に) | 先発選手のリエントリー |
とまとめられる。
結果が分かっている今からなので、何とでもいえるかもしれないが、今回のケースは、(投げていないけど)先発だったダニエル投手のリエントリー(再出場)であり、ルールに則って何の問題もなかったことが分かる。
補足)
FPのスターティングメンバーはダニエル・ローリー選手だったが、FPは守備専門なので、カナダの1回表の攻撃には当然参加せず、1回裏の守備につく前に投手を交代しており、実際にプレイをしたのは、5回裏の投手交代での「リエントリー」からだったことになる。実質的には、先発ザラ・グレーネベーゲン投手、一人を挟んでダニエル選手への継投なので、「初回で投げる前に代えるぐらいなら、スターティングメンバーに入れてリエントリーなど使わなくても、通常の交代で問題なかったのでは?」と、思う人もいるかもしれない。ただ、上で示したように、DPは、「採用する場合は、試合開始から終了まで継続」しなければならないため、最初にDP(とFP)の枠を使っておかないと、その試合ではDPを使えなくなる。カナダは、試合を通してDPを使うために、(「リエントリー」の利用を考慮した上で)あえて初回でFPを交代するようなスターティングオーダーにした、と考えられる。
混乱が起こった理由を初心者が想像
なぜ混乱が起こったか、考えられる理由としては、
ザラ選手とダニエル選手のDPとFPを混同した
可能性が高い。(個人的な感想です)
ザラ選手は1回裏の開始と同時に投手に交代し、DPとFPを兼ねることになったが、このことで、審判団は、ザラ選手をFP、ダニエル選手をDPのスターティングメンバ―だと、正解とは逆に誤認した可能性がある。この誤った前提だと、5回裏の交代は、先発DPの選手がFP単独の選手に交代することになるため、認められなくなる。(DPとFPが完全に入れ替わることは認められない)
そもそも、今回の中断は、相手チームである日本側からのアピールではなく、審判団による協議での中断だったように見える。(例えば、打順間違いなどの場合は、審判が指摘することはなく、相手側のアピールが無ければ、そのまま試合は続行され、成立する)。ということは、カナダの交代の申し出の内容に、審判団は、ルール上受け入れられない内容(DPとFPが完全に入れ替わる)ではないか、と疑った可能性が高い。
他にも考えられるのは、それより前のどこかの交代を誤認していた可能性もある。その(誤認した)前提だと交代を認めることができなかったが、改めてカナダ側が「あの時の交代を告げた内容はこうだったのに審判が誤認した」と指摘して、審判団も受け入れた、というケースが考えられる。この場合も、どこかのタイミングでDPとFPを混同した可能性が高い。(あるいは、初めの時点、スターティングオーダーの提出時に、DPとFPを誤記、あるいは誤認した可能性も考えられる。)
以上は、あくまで、個人的な想像でしかなく、後付けなので、何とでも批判できるかもしれない。
冷静に後から見れば、今回の交代は、リエントリーによる出場なので何の問題もないようにも見える。それなのに、中断時間があれだけ長引いたのは、ルールに反しているかを厳しくチェックする審判団の姿勢があったのではないか。ただ、その姿勢が強すぎて、疑問があればそれに固執しすぎて納得できるまで修正できなくなってしまって必要以上に時間をかけてしまった面(反面)もあったのではないだろうか。
この初心者の解釈があっているかどうかは分からないが、ルール違反を見つけるために躍起になると、必要以上に固執しすぎて見えなくなる、ということは、一つの教訓として、今後も大事にしたい。
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