初心者がプロ野球のマジックナンバーをいかに理解したか

[2019/08/26追記:2019年シーズンに即し、図式化もしてみたマジックナンバーの最新の解説は、当ブログ記事「初心者がいかにプロ野球のマジックが消えたり点いたりするのを図式化したか」(公開日:2019/08/26)を参照。]

「優勝へのマジック点灯」

プロ野球の記事で、この言葉が出るたびに、なんとなく優勝が近いんだな、と思う。

2018/08/15、プロ野球のセリーグで、広島にマジックが点灯した。

だが、改めて、「マジックって何?」と聞かれて、うまく説明できたためしがない。

言いくるめるように説明すれば、相手も「わかった」と言ってくれるが、不服そうな顔をしている。それはそうだ、説明している本人が、よくわかっていないのだから。

スポーツニュースや記事などでは、マジックが点灯したり消えたりするたびに説明・解説がたびたびされて、それを聞いたり読んだりして、何となくわかったつもりになる。だが、いざ自分が説明しようとすると、しどろもどろになってしまうのがいつものパターンだった。

そんな私が、初心者なりに、いかにマジックナンバーを理解したのか、説明する。

[当記事は、前身ブログ「はじめはみんな初心者だ」での記事「プロ野球での「マジックナンバー」をいかに理解するか」(公開日:2017/08/23)を、2018年シーズンに即して加筆・修正したものです。当ブログでの公開日:2018/08/16]

1.「マジック」への疑問

マジックナンバー」への疑問点は、

  • 点いたからといって優勝が決まったわけではない
  • 消えることもある
  • 減らないこともあるかと思えば、負けたのに減ることもある
  • 引き分けの時はややこしい
  • 1位じゃないチームに点いて「逆マジック」と言われることもある。
  • マジック」の語感に引きずられて、「手品」、「魔法」、「油性マーカー」との関連を疑ってしまう

などである。

ウィキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/で、「マジックナンバー (野球)」を検索すると、

マジックナンバー(magic number)とは、プロ野球の用語で、「他のチームの試合結果に関わらず、自チームがあと何勝すれば優勝が決定する」と言える勝ち数を意味する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/マジックナンバー_(野球)
(参照2018-08-16)

とあった。ほかにもいろいろな定義が書いてあり、日米の違い、例外的な事例など、興味深いケースも例示してあり、非常に参考になる。

その中でも、ウィキペディアでは、マジックナンバーの日米の比較で、

日本では他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった状況でのみこの値を用い、この条件を満たすことをマジックナンバーが「点灯」したという。

https://ja.wikipedia.org/wiki/マジックナンバー_(野球)
(参照2018-08-16)

と表現している。

この、

「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった状況」

という点こそが、マジックナンバーを理解するうえで、肝(キモ)となるところだ。

2.自力優勝の可能性

マジックナンバーの仕組みを理解するうえで、必要不可欠な、

「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった状況」

の意味について説明したい。

ここでいう、「自力優勝」とは、文字通り、(他チーム同士の対戦結果にかかわりなく)「自分のチームが残り試合全部勝ったら優勝する」ことである。

この、「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった状況」時点では、優勝は決まっていない。優勝が決まるのは、当たり前だが、

「他の全チームに優勝の可能性がなくなった状況」

である。つまり、

開幕
→「すべてのチームに優勝の可能性」
→「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった状況」→マジックナンバー点灯
→「他の全チームに優勝の可能性がなくなった状況」
→優勝

の流れである。

「残り試合全部勝つ」と仮定することは、直接対戦した相手が負けることでもあるので、仮に、現時点で相手が上位にいても、直接対決を含めた残り試合全部勝てば相手チームを逆転することができる場合は、自力優勝は存在することになる。

逆に言うと、

「自分のチームが残り試合全部勝っても、優勝できないケースがある」

場合は、「自力優勝の可能性が消える」ということになる。

極端な例でいえば、残り試合を全勝したと仮定し、その対戦した分を相手チームの負けに組み込んだとしても、相手チームがそれ以外の試合で全勝すれば、その相手チームが自分のチームを上回って優勝してしまう場合である。

つまり、直接対決以外の結果に左右されるケースである。

したがって、自力優勝の考え方の上では、直接対決の残り試合数が大きな意味を持つ。直接対決では、自分のチームの勝利が相手チームの敗北に直結するからである。
マジック対象チームが、2位ではなくほかの下位チームついたりするのも、残りの直接対決の数が影響するためである。
(今回、2018/08/15試合終了時の広島のマジック対象チームが4位阪神なのは、今年は西日本豪雨などの影響による雨天延期になった試合があって、広島―阪神戦の残り試合が9と比較的多く、また阪神の残り試合数が広島より4つ多いためである。)

「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった状況」、つまり、

「他の全チームとも、仮に残り試合全勝しても、優勝できない可能性が生まれた状況」

が、マジックナンバーの点灯である。そしてその数字は、点灯チームが勝つごとに、優勝へのカウントダウンとして減っていき、また、対象チームが負けるごとに、対象チームが優勝できる可能性が少なくなっていくのとともに減っていく。

3.実際の例(2018/8/15試合前のセリーグのマジック状況)

今回の例として、2018/8/15のセリーグの試合前の成績は、

広島59勝39敗2分(残り試合43)
ヤクルト48勝50敗1分(残り試合44、内広島戦10)
巨人51勝54敗2分(残り試合36、内広島戦6)
阪神46勝49敗1引(残り試合47、内広島戦10)

で、すでにこの時点でヤクルトと巨人には自力優勝は消滅していた。(つまり、ヤクルトや巨人は、残り試合を全勝しても、優勝できないケースが存在していた。)だが、まだ、この時点では、阪神が残り試合を全勝すれば、理論上は、阪神が優勝することになる。[2021/05/28打消し線と追記:この前提(「阪神が残り試合を全勝」)からは「阪神が広島を上回る」ということしか言えないので、「理論上は、」の部分に打消し線を入れて訂正。ただ、実際には、阪神は対ヤクルト、対巨人の直接対決を残していて全勝すればその二チームを(さらに言えば、下位の横浜、中日も)上回ることは決まっていたと思われるので、「優勝することになる」の部分はそのままにしておく。2021/05/28追記以上。]

そして、8/15の試合は、広島―阪神の直接対決で、広島が勝利した。

この結果、仮に阪神が、残り試合全勝すれば92勝50敗1引(勝率.6478)となる。
この前提では、広島は阪神との直接対決で9敗したことになるが、広島がそれ以外の33試合で32勝1敗であれば92勝49敗2引(勝率.6524)となって、広島が阪神を上回る。

この、阪神が残り全勝しようが、広島は阪神以外で32勝すればいい、というのが今回点灯した「マジック32」の意味でもある。
広島が勝つだけでなく、阪神が負ければ、その分、広島の優勝への必要な勝ち数は下がっていくので、マジックナンバーも減っていく。

4.修正マジックナンバーの提案

マジックナンバーの元々の意味が、(他チームに関係なく)「自チームがあと何勝すれば優勝するか」だったのに対し、日本では、「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった状況」という点で着目されて導入されたのは興味深い。

そのマジックナンバーだが、消えることはよくある。他チームに自力優勝が復活した時だ。

優勝へのマジックが数字で表現できるのなら、マジックが消える数字も表現は可能であろう。

つまり、

マジックが消える目安になる数字

だ。

私はこれを、修正マジックと名付けたい。
逆マジックという言葉は、2位以下のチームにマジックが点くときに既に使われているので、取り上げない。マジックを消すという意味ではこれが適当かと思われる。)

マジックナンバーが対象チームの自力優勝の可能性がなくなった状況であることから、

マジック点灯チームの残り試合数)-(マジック対象チームとの直接対決試合数)<(マジックナンバー

となれば、他チームに自力優勝の可能性があることになる。(便宜上、この並びにしたが、数式を移行することで、分かりやすくなるかもしれません。)

そこで、

修正マジック)=(マジック点灯チームの残り試合数)-(マジック対象チームとの直接対決試合数)-(マジックナンバー

と定義して、数字でマジックが消える過程を表現したい。

この式があらわしているのは、

  • 修正マジックがマイナスになれば、自力優勝復活してマジックが消える。
  • 修正マジックが減る可能性があるのは、マジック点灯チームが試合をして負けたときだけ。
  • マジック点灯チームが負けても、直接対戦していないマジック対象チームが負ければマジックナンバーも一つ減るので、結果的に修正マジックに変化はない。
  • 直接対決の時は、修正マジックは増えることはあっても減ることはない。

5.修正マジックの実際の例(2018/08/16の試合前後)

ここからは、今回のセリーグの例をもとに、2018/08/16の試合結果により、

どうなればマジックが消滅するか

を考えてみたい。

単純に言えば、広島と阪神のゲーム差が12.5あって、直接対決は9試合しか残っていないので、阪神がその9試合すべて勝ったとしても残り3.5ゲーム差足りない。この3.5ゲーム差を他チームに頑張ってもらって縮めてもらうしかない。

自力優勝が消えたので、他力で優勝の可能性を復活するという発想だ。

8/16の試合前の時点では、

(広島の残り試合42)-(阪神との直接対決残り試合9)-(マジックナンバー32)

で、修正マジックは1だ。

そして8/16の試合は、広島―阪神の直接対決であるため、行われた場合は、

(広島の残り試合)と(阪神との直接対決残り試合)が同じく1ずつ減るため、修正マジックが変化するのは、マジックナンバーが変化した時だけだ。

つまり、阪神はすでに自力優勝の可能性を失っているため、直接対決で勝とうが自力優勝は復活しない。(逆に言うと、直接対決をすべて勝っても優勝できない可能性があるという前提のため、直接対決で勝ったからと言ってマジックは消えない。)

この場合、8/16の広島―阪神戦での、修正マジックの変化を予想すると、

  • 広島勝利(阪神敗北)の場合、マジックナンバーが2減って、修正マジックは3に増える
  • 広島敗北(阪神勝利)の場合、マジックナンバーはそのままで、修正マジックも1のまま

となる。

当たり前と言えば当たり前だが、マジックナンバーが減るたびに修正マジックの数字が大きくなる(つまり、自力優勝の復活のハードルが高くなる)

では、直接対決ではない明日以降を予想すると、予定通り二試合とも行われ、決着がついた場合の組み合わせと結果は、

  • 広島勝利・阪神勝利→修正マジックの変動なし
  • 広島勝利・阪神敗北→修正マジック+1(マジックがより消えにくくなる)
  • 広島敗北・阪神勝利→修正マジック-1(マジックがより消えやすくなる)
  • 広島敗北・阪神敗北→修正マジック変動なし

となる。両者ともに勝利した場合と、ともに敗北した場合は、数字に変化がなく、どちらかかが勝ってどちらかかが負けた場合に数字に変化が出る。

その数字の大きさで、マジックが消えて自力優勝が復活する一つの目安になる。

実際には引き分け数が勝率に絡んだり、対象チームの変化で簡単にはいかないかもしれないが、マジックが消滅する一つの目安として、修正マジックを利用してみてはいかがだろうか。

「あとどれくらいで優勝するか」というマジックの目安もいいが、

「あとどれくらいで自力優勝が復活するか」という修正マジックの目安も、提案したい。

プロ野球の日程やマジックナンバーの参考サイト

”日本野球機構(NPB)オフィシャルサイト”。
http://npb.jp/
(参照2018-08-16)

”最新の順位表とクリンチナンバー”。
https://freefielder.jp/magic/
(参照2018-08-16)

まとめ

  • プロ野球で使われるマジックナンバーは、「他の全チームに自力優勝の可能性がなくなった状況」であることが要点
  • 「自力優勝の可能性がなくなる」とは、「残り試合全勝しても、優勝できないケースがあること」
  • 「マジックナンバーが消える」目安としての「修正マジック」の提案

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