最終回裏同点サヨナラの場面で、無死一三塁になったとき、一塁ランナーはどうすればいいか?

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2020年9月1日の読売巨人軍主催試合は、『川上哲治生誕100年記念試合』として、ジャイアンツの選手全員が川上選手がつけていた永久欠番である16番の背番号を付けてプレーをした。

記念試合にふさわしい熱戦で、最後は巨人がサヨナラ勝ちをした。

いろいろなことを語れるゲームだったとは思うが、今回、私が取り上げたいのは、同点で迎えた9回裏の巨人の攻撃で、無死一三塁になった場面の一塁走者の役割だ。

試合での実際の経過は、後で説明するとして、こういったケースで最重要なのはサヨナラのランナーとなる三塁走者であり、一塁走者の役割はオマケのようにも見える。ただ、走者である以上、全く無関係であるわけではない。可能性は低くてもいろいろなことを想定して、「打てる手はすべて打っておく」ことも、勝負の世界では重要だ。

そこで、最終回裏同点無死一三塁のケースで、

「一塁ランナーは、どうすればいいのか?」(どうするのが正解なのか?)

について、初心者なりに考察してみたい。

今回の試合内容について参照したのは主に、

読売巨人軍公式サイト、日程・結果>試合日程>2020年9月1日試合結果、”9月1日 対DeNA10回戦・東京ドーム”。
同、”イニング詳細”。
同、”スコアブック”。

https://www.giants.jp/G/result/202009011index.html、https://www.giants.jp/G/result/inning/202009011inning.html、https://www.giants.jp/G/result/202009011/bis/ScoreBook.html(以上参照2020-09-08)

サヨナラのランナーではない一塁走者の立場

同点で、最終回裏、無死一三塁。

1点取ればサヨナラ勝ちになる場合、最重要なのは一番本塁に近い三塁ランナーであり、一塁ランナーは、言ってみればオマケのような存在だ。

だが、ランナーである以上、アウトカウントを献上してしまう存在であり、一方でアウトになる危険を冒して空いている次の塁を狙える存在でもある。

そのため、いろいろな立場の意見が考えられる。

「勝負に関係ないから無駄にアウトにならないようにリードもせずに静かにしておこう」
「いや、ゴロで(三塁走者が動かず)一塁走者が二塁フォースアウトになる可能性を少しでも減らすために、ある程度はリードを取っておくべき」
「この場面では盗塁しても投げてこないだろうから、盗塁するのがセオリーでは」
「いっそのこと、一塁走者による偽盗か大きく離塁して相手をつり出して、その間に三塁走者に本塁突入させる作戦は? 結果的に相手が警戒して動かなければ、それはそれで二塁に行ける」
「でも、後の打者を考えると、盗塁して一塁空けても敬遠されるだけだから、そのまま一塁にいておいた方がよくないか」

など、思いつくだけでも、自重すべきだという立場から、ある程度の危険は考慮しつつもサヨナラの可能性を上げるために動くべきという立場まで、幅広い。

実際には、走者・打者・投手・守備・控え選手など、試合状況に応じて、立場は変わると考えられる。

サヨナラのランナーではない一塁走者の役割

この場合の一塁走者は、ランナーとして最低限の役割、

(無駄に)アウトにならない

ことを果たしさえすれば、十分と言えるかもしれない。極端な話、「牽制死やライナーによる併殺を防ぐためにリードを取る必要もない」という意見も説得力がある。

あくまでサヨナラの主役は、三塁ランナーとバッターであり、「一塁走者は何もするな」、と割り切るのも、作戦としてあり得る。

だがその一方で、一塁ランナーは打撃結果がゴロの場合、二塁でフォースアウトになる対象になるので、その可能性を減らすために、

二塁でアウトにならないように一塁走者も積極的に動いておく

ことも、「セオリー」としてあり得る。具体的には、牽制アウトにならない範囲でリードを大きく取ったり、より走力のある代走を出したりすることが考えられる。

さらには、あえてリスクを取って一塁走者がオトリになることで、相手の守備をつり出し、その間に三塁ランナーをホームへ突っ込ませる戦法もあり得る。実際には、守備側も三塁ランナーがホームを踏めばサヨナラ負けになることは分かっているので、一塁走者が走っても自重する可能性は高い。その場合は、一塁走者はそのまま二塁に行けることになる。

このように、一塁走者の役割は、「アウトにならないように、じっとしておく」という考え方と、「アウトになりにくいように、先に動いておく」という考え方があり、それぞれ逆の動きになる。

「サヨナラに関係ないからこそ、一塁走者はアウトにならないためにじっとしておくべきだ」と言うのもわかるし、「関係ないからこそ、次にアウトになる確率を下げるために、比較的奪いやすい二塁へ盗塁しておく」と言うのも、理解できる。

また、一塁走者が動かなかったり、逆に動いた結果で一塁が空いたりすると、次打者以降の対戦にも影響を与える。相手がそのまま勝負してくるか、それとも空いた一つの塁を利用して敬遠してくるか、など、様々な組み合わせが考えられ、こちらが望む形になるかどうかは、やってみなければわからない。

こう言ってしまうと、元も子もないが、一塁ランナーを動かすかどうかは、様々な状況を踏まえた上での、ケースバイケース、だ。

2020年9月1日巨人・横浜戦での9回裏同点無死一三塁のケース

では、冒頭で紹介した9月1日の試合のケースでは、どのように動いたのだろうか。

大まかな流れは、以下の通り。

9回裏同点
先頭5番・丸 ヒット 一塁 → 一塁代走・増田大
6番・ウィーラー ヒット 一・三塁 → 一塁代走・吉川大
7番・大城 申告敬遠 満塁 → 一塁代走・岸田
8番・吉川尚 ヒット サヨナラ勝ち

[敬称略。以下同。同上の「スコアブック」を参照]

補足:個人的な印象だが、このメンバーの中での巨人の代走としての優先順位の位置付けは、「1.増田大、2.吉川大、3.岸田」だと考えられる。特に、捕手である大城の代走となった岸田は捕手登録であり、シンプルな代走としての能力よりも、同点で終わった場合の延長に備えての代走だったと見ていいだろう。ちなみに、試合終了時の巨人の控え野手は、「中島・岸谷・若林・重信・モタ・北村」であり、代走としての能力のある選手がまだベンチに残っていたことも付記しておく。(上記の「スコアブック」からの確認。選手の評価については個人的な感想です)

今回のテーマで注目するのは、

6番・ウィーラーのヒットで、無死一・三塁になってから、一塁代走を出した巨人の動きと、次打者の大城で申告敬遠をした横浜の動き

だ。

試合では、無死一・三塁となった時点ですぐに巨人が一塁走者に代走を出している。サヨナラのランナーでもない一塁走者に代走を出すのは、このケースでの一塁走者をオマケとみていない証拠でもあるだろう。

ただその一方で、横浜もすかさず、申告敬遠をして、無死満塁にすることを選択した。守備側としては、1点取られれば終わりの状況では、塁を埋めて守りやすくするのも、「セオリー通り」と言っていいだろう。

結果的に、今回の試合では、攻撃側が一塁に代走を出し、守備側が申告敬遠をすることで、次の状況へとあっさりと移ってしまった。

「ウィーラーに代走を出さない」という選択肢は?

今回のケースでは、両チームとも、ある意味、「セオリー通り」なので、取り立てて取り上げることはないかもしれない。

ただ、「if(もしも)」として別の方法を取りえた可能性は無いだろうか。

それは、最終回裏同点無死一三塁で、

一塁走者の代走を出さない

という選択肢だ。

仮に、一塁走者をウィーラーのままにしておいたら。

俊足の代走(吉川大)ではなく、あえて盗塁の可能性の小さいウィーラーをそのままにしておくことで、状況が変わっていた可能性がないだろうか。

たとえば、俊足のランナーが二盗をしても、守備側は、サヨナラとなる三塁走者がいることを考え、ハナから送球をあきらめる可能性がある。だが、よりアウトにできそうなウィーラーをそのまま走者にしておくことで、守備側をつり出して、三塁走者をホームインさせる可能性を高くすることができないか。

もちろん、代走を出そうが出さまいが、横浜が申告敬遠を選択した可能性は高く、結局、同じように無死満塁になっていたかもしれない。だがその場合は、満塁になってから、二塁走者と一塁走者の代走の選択が同時にできるため、巨人の場合で言えば、二塁走者を岸田、一塁走者を吉川大、とする、実際とは逆の代走の配置が可能になっていた。ダブルプレーの対象になりやすい一塁走者に、より俊足の代走を送るという選択だ。

補足:実際の試合では、巨人は無死一三塁となった直後に一塁代走(吉川大)を送り、横浜はその後に申告敬遠を選んで無死満塁となり、結果的に「二塁走者吉川大、一塁走者岸田」、という形になった。
ただ、このケースで、「一塁走者の方により俊足の走者を置く」という考えが正解とは言い切れないことにも注意だ。というのも、次のプレイの結果により、三塁ランナーがアウトになった場合、サヨナラのランナーは直前に交代した二塁代走の選手となるからで、同時に代走を交代した場合の意図(両者の走者のどちらが重要かを判断し、より重要な方に俊足の選手を置く)と逆になってしまうからだ。あくまで、その状況においてどちらの可能性が高いのか、という判断であり、それが思い通りになることもあれば、状況が変わって裏目に出ることもありうる。

これらのことを考えれば、巨人としては、一塁代走を送る前に、横浜の選択を待つべきではなかったか。

もし、巨人の動きを待たずに横浜が申告敬遠を選んでいたのなら、その後、二塁走者と一塁走者の代走の選択の幅が広がっていた。

反対に、横浜が打者との勝負のそぶりを示したのなら、その場で対応を考えればいい。タイムを取って代走を出すか、打順との絡み・控え選手など総合的に考えてそのままの打者との勝負、あるいは代打を出すか、一塁ランナーに盗塁(偽盗)をさせて動かすか、などの選択肢は広がる。

いずれにせよ、

一塁走者に(すぐに)代走を出さない

ことが、選択肢を一番広げる可能性を持っていたのではないだろうか。

結果論ですが・・・

もちろん以上の「if」は、素人の思い付きに過ぎない。

実際のところ、巨人はサヨナラ勝ちしているので、巨人の選択で正しかったと言えるだろう。

今さらなんだという話だが、改めて振り返ると、最終回裏同点無死一三塁になったケースで、一塁走者に注目するのは、過剰な反応かもしれない。

私も、これまで、「二盗はセーフになる可能性が高いから盗塁できる」、「偽盗してつり出せ」などと、威勢のいいことを言っていたが、しょせん外野からのヤジに過ぎない。仮に、私がその状況で一塁ランナーになって、ベンチからの指示もなく自分で判断しろと言われた場合、一塁を大きくリードしたり、盗塁をする自信はない。

「三塁ランナーがホームを踏めばサヨナラなのに、一塁走者が余計なことをしてアウトになって流れが変わったらどうするのか。」
「走ったとしても、三塁走者がこちらの意図を酌んでくれるのか。相手が二塁に投げたとき、三塁ランナーは走ってくれるのか。こちらの単独走塁で無駄死にになりはしないか。(そもそも、よくよく考えれば、一塁走者より三塁走者の方がプレッシャーは大きいから、三塁走者の方が簡単にはスタート切れなくても仕方がないかも)」
「黙っていても敬遠で満塁になる可能性があって、内野ゴロや外野フライ、暴投、エラーでもサヨナラになるかもしれず、残りスリーアウトになるまでの打者が何人か対戦するチャンスがあるのに、他の走者が余計なことをするのは、このあとの打者を信じられないのか。」

こういったことを想像した時、とても、走る勇気はない。いくら相手が二塁へ投げてこない可能性が高いと分かっても、万が一を考えるとなかなか踏み出せない。

そこまで考えたとき、

準備ができていないなら、一塁走者は自重しておく

という、初心者の結論となった。

ただ、日頃から、これまで述べてきたような選択肢を想定して練習してきたのであれば、ある程度の確信をもってプレイできるので、可能性は広がることは間違いない。

事前に想定するという意味で、今回の初心者の考察が、実際にプレーする人に少しでも役に立てば幸いである。

まとめ

  • 最終回裏同点の場面で、無死一三塁になったとき、一塁ランナーはどうするべきか
  • 基本的には一塁走者は「アウトにならない」ことが最重要
  • 一方で、「アウトにならないために、ある程度のリスクを取って盗塁しておく」こともあり得る
  • さらに、「アウト覚悟で飛び出し、三塁ランナーをホームへ突っ込ませるオトリになる」というギャンブルもアリ
  • 守備側の動きを見極めてから代走を出すことの初心者なりの考察
  • でもいろいろと考えたとき、準備ができていないなら、自重しておくのが次善
  • ただ、事前に想定していろいろと練習を積んでいれば、実際のケースで選択肢は広がる

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